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トイ・プードルとは?知っておきたい性格やしつけ、寿命から病気まで徹底解説

目次
トイ・プードルとは?

ぬいぐるみのような愛らしい容姿と、非常に賢い性格で多くの人々を魅了するトイ・プードル。
日本国内でも常に人気犬種ランキングの上位に名を連ねる、まさに国民的な人気を誇る犬種です。
その魅力は見た目だけにとどまらず、家族に対する深い愛情や、しつけのしやすさなど、家庭犬として理想的な資質を数多く備えています。
この記事では、これからトイ・プードルを家族に迎えたいと考えている方へ向けて、その特徴や飼い方、健康管理のポイントまで、幅広く解説していきます。
トイ・プードルの特徴と基本情報
トイ・プードルの原産国はフランスで、古くからヨーロッパの貴婦人たちに愛されてきた歴史を持ちます。
元々は水辺で鳥を狩るウォータードッグとして活躍していたスタンダード・プードルを小型化した犬種です。その賢さと訓練性能の高さは猟犬としてのルーツに由来します。
日本ではジャパンケネルクラブ(JKC)の犬籍登録頭数において、長年にわたりトップクラスを維持しており、その人気は不動のものです。
抜け毛や体臭が少ないという特性も、日本の住環境に適しており、チワワやミニチュア・ダックスフンドと並んで、初めて犬を飼う方にも選ばれやすい犬種と言えるでしょう。
トイ・プードルのサイズ(体重・体高)
犬の大きさを測る基準となる体高とは、地面から犬の背中(肩甲骨の最も高い部分)までの高さを指します。
トイ・プードルの理想的な体高は24cmから28cmとされており、これに対応する標準的な体重は3kg前後が目安となります。
ただし、骨格や筋肉量によって個体差があるため、体重の数字だけにとらわれず、ボディコンディションスコアという、肋骨や腰のくびれに触れて体型を確認する方法で、肥満や痩せすぎでないかを判断することが重要です。
トイ・プードルの毛色と被毛の特徴
トイ・プードルの被毛は、シングルコートと呼ばれる、下毛(アンダーコート)がなく、上毛(オーバーコート)のみで構成されているのが大きな特徴です。
このため、犬特有の獣臭が少なく、換毛期に大量の毛が抜けるということがありません。ただし、毛はカールしながら伸び続けるため、定期的なトリミングが欠かせません。
毛色は非常にバリエーション豊かで、ブラック、ホワイト、ブラウンといった単色から、アプリコット、クリーム、レッド、シルバー、ブルーなど、多彩なカラーが公認されています。
近年では、2色以上の毛色を持つ「パーティーカラー」なども人気を集めていますが、ジャパンケネルクラブ(JKC)では単色が正式なカラーとされています。
プードルのサイズ別分類(トイ・ミニチュア・ミディアム・スタンダード)
一般的に「プードル」と呼ばれる犬種には、体高によって4つのサイズが存在します。
大きい順に「スタンダード・プードル」「ミディアム・プードル」「ミニチュア・プードル」「トイ・プードル」と分類されます。
スタンダードが体高45cm~60cmであるのに対し、ミディアムは35cm~45cm、ミニチュアは28cm~35cm、そしてトイは24cm~28cmが標準です。
日本ではこの中で最も小さいトイ・プードルが圧倒的な人気を誇りますが、どのサイズも賢さや愛情深さといったプードルならではの気質は共通しています。
トイ・プードルの性格

トイ・プードルは非常に豊かな感受性と高い知能を持つことから、一言では表せない多面的な性格をしています。
家族に対しては深い愛情を示す一方で、その賢さゆえの繊細さも持ち合わせています。ここでは、トイ・プードルの主な性格の側面を項目ごとに詳しく解説します。
賢くしつけやすい性格
トイ・プードルは、数ある犬種の中でもトップクラスの知能を持つことで広く知られています。飼い主の言葉や状況をよく理解し、物覚えが非常に早いため、トレーニングがしやすいのが大きな特徴です。
教えられたルールを忠実に守ろうとする姿勢があり、様々な芸を覚えることも得意です。この高い学習能力は、初めて犬を飼う方にとって心強い味方となるでしょう。
社交的で人懐っこい
非常にフレンドリーで、家族に対して深い愛情を注ぐ犬種です。飼い主やその家族と一緒に過ごすことを何よりも喜び、常にそばにいたがる甘えん坊な一面があります。
その社交性は人だけでなく他の犬にも発揮されることが多く、適切な社会化期を経験することで、ドッグランなどでも友好的に振る舞うことができるでしょう。
活発で遊び好き
愛らしい見た目とは裏腹に、その祖先が水辺の猟犬だったこともあり、非常に活発でエネルギッシュです。体を動かして遊ぶことが大好きで、ボール遊びや知育トイを使った遊びなどを通じて、有り余るエネルギーと知的好奇心を満たしてあげる必要があります。
日々の散歩に加えて、室内でのコミュニケーションを兼ねた遊びの時間を確保することが、彼らの心身の健康に繋がります。
繊細で警戒心が強い
賢いがゆえに、周囲の状況を敏感に察知し、見知らぬ人や物音に対して警戒心を抱くことがあります。この警戒心が吠えに繋がることもありますが、これは信頼する家族を守ろうとする本能的な行動の表れです。
子犬の頃から様々な環境に慣れさせる「社会化トレーニング」をしっかりと行うことで、過度な警戒心を和らげ、落ち着いた性格に育てることができます。
トイ・プードルの飼い方としつけのコツ

トイ・プードルの賢さと繊細さを理解し、適切な環境を整えることが飼育の基本となります。まず、飼育環境は必ず室内で、滑りにくい床材を選ぶか、カーペットやマットを敷くなどの工夫が大切です。
彼らの細い足腰は、フローリングなどの滑りやすい床では膝蓋骨脱臼(しつがいこつだっきゅう)という関節の病気を引き起こすリスクが高まるためです。
運動については、毎日の散歩が欠かせません。1日2回、1回あたり20~30分程度を目安に、外の世界の匂いを嗅いだり、他の犬や人と触れ合ったりする機会を作りましょう。
しつけにおいては、その賢さが大きな助けとなります。特に重要なのが「社会化期」と呼ばれる生後3ヶ月頃までの時期です。この時期に様々な物音や人、他の犬などに慣れさせておくことで、将来的な問題行動を予防できます。
しつけの際は、叱るよりも褒めて伸ばすことを基本としましょう。できたことを具体的に褒めることで、トイ・プードルは学習意欲を高め、飼い主との信頼関係を深めていきます。
トイ・プードルの食事・ドッグフードの選び方

トイ・プードルの健康を維持するためには、毎日の食事が非常に重要です。ドッグフードを選ぶ際は、まず主原料を確認しましょう。良質な肉や魚などの動物性タンパク質が主原料となっているフードが理想的です。
また、犬の成長段階に合わせてフードを切り替える「ライフステージ別」の考え方も大切です。
成長に必要な高カロリー・高タンパクな「子犬用」、健康維持に適した栄養バランスの「成犬用」、そして運動量の低下や消化機能の変化に配慮した「シニア犬用」と、年齢に合ったフードを選びましょう。
トイ・プードルは、アレルギー性の皮膚炎や涙やけ(流涙症)といったトラブルを抱えることも少なくありません。
愛犬の体質に合わない食材が含まれていないか、アレルギーに配慮したフードを選ぶことも選択肢の一つです。食事の回数は、子犬の頃は1日3~4回、成犬になれば1日2回が基本です。常に新鮮な水が飲める環境を整えることも忘れないでください。
トイ・プードルのカットスタイルとトリミング頻度

トイ・プードルの最大の魅力の一つである、豊かでカールした被毛を美しく健康に保つためには、定期的なトリミングが欠かせません。ここではその必要性と頻度、そして人気のカットスタイルについて解説します。
トリミングの必要性と頻度
トイ・プードルの被毛は、抜け毛が少ないシングルコートですが、人の髪の毛のように伸び続けます。そのため、定期的にカットをしなければ毛が絡まって毛玉になり、皮膚の通気性が悪化して皮膚炎などのトラブルを引き起こす原因となります。
トリミングの頻度は、カットスタイルを維持し、衛生を保つために、月に1回が一般的な目安とされています。プロによるトリミングは、爪切りや耳掃除なども含めた総合的なケアであり、病気の早期発見の機会にもなります。
人気のカットスタイル
トイ・プードルは、様々なカットスタイルを楽しめるのも大きな魅力です。最も人気が高いのは、顔周りをふんわりと丸く仕上げ、まるで子熊のぬいぐるみのような愛らしい印象になる「テディベアカット」です。
その他、足先とお顔をスッキリと刈り、クラシックで優雅な雰囲気の「ラム・クリップ」、口周りの毛を丸く残す「マスタッシュ・スタイル」など、バリエーションは多岐にわたります。
愛犬の毛質や体格、季節に合わせて様々なスタイルに挑戦するのも、トイ・プードルと暮らす楽しみの一つです。
トイ・プードルに多い病気と健康管理のポイント

トイ・プードルとの健やかな毎日を守るためには、この犬種がかかりやすいとされる病気について正しく理解し、予防に努めることが重要です。ここでは代表的な病気と、日頃からできる健康管理のポイントを解説します。
膝蓋骨脱臼(パテラ)
トイ・プードルのような小型犬に非常に多く見られる関節の病気です。後ろ足の膝にあるお皿のような骨(膝蓋骨)が、正常な位置からずれてしまう状態で、遺伝的な要因が大きいとされています。
症状としては、歩いている時に急に後ろ足を浮かせる「スキップ」のような歩き方をしたり、足を痛がったりします。滑りやすいフローリングを避ける、高い場所から飛び降りさせない、適切な体重を維持するといった生活環境の改善が予防に繋がります。
進行性網膜萎縮症(PRA)
眼の奥にある網膜が少しずつ変性・萎縮し、視力が低下していく遺伝性の眼疾患です。初期症状としては、暗い場所で物が見えにくくなる「夜盲症」が見られ、徐々に進行すると最終的に失明に至ります。
残念ながら現在のところ有効な治療法はなく、遺伝子検査で発症リスクを確認することが唯一の予防策となります。信頼できるブリーダーから迎えることが非常に重要です。
骨折
トイ・プードルは手足が細く華奢なため、比較的骨折しやすい犬種です。特に、活発な子犬期には注意が必要です。
ソファやベッドなど、少し高い場所から飛び降りた際の着地の衝撃で骨折してしまうケースが後を絶ちません。室内環境に段差をなくしたり、スロープを設置したりするなどの工夫でリスクを減らすことができます。
外耳炎
垂れ耳の犬種は耳の内部が蒸れやすく、細菌や真菌が繁殖して外耳炎を起こしやすい傾向にあります。耳をしきりに痒がる、頭を頻繁に振る、耳から異臭がするといったサインが見られたら注意が必要です。
定期的に耳の中をチェックし、汚れていれば専用のクリーナーで優しく拭き取るなど、清潔に保つことが最も効果的な予防法です。
日頃の健康管理のポイント
特定の病気を予防・早期発見するためには、日々のケアが基本となります。毎日のブラッシングは皮膚の異常を見つける機会になりますし、定期的な歯磨きは歯周病を防ぎます。
ご紹介した病気の兆候がないか、歩き方や目の様子、耳の状態などを日頃から観察する習慣をつけましょう。そして、年に一度は必ず動物病院で健康診断を受け、獣医師による客観的なチェックをしてもらうことが、愛犬の健康寿命を延ばすための鍵となります。
トイ・プードルの寿命と年齢ごとのケア

トイ・プードルの平均寿命は14歳から17歳程度と言われており、小型犬の中では比較的長寿な犬種です。愛犬に健やかな一生を過ごしてもらうためには、年齢に応じたケアが大切になります。
子犬期(~1歳)
この時期は、心と体の基礎を作る最も重要な期間です。基本的なしつけや社会化トレーニングを集中的に行いましょう。食事は、成長に必要な栄養素がバランス良く配合された子犬用のフードを与えます。
成犬期(1歳~7歳頃)
心身ともに安定し、最も活発な時期です。日々の散歩や遊びを通じて十分な運動量を確保し、肥満にならないよう体重管理に気を配りましょう。年に1回の健康診断と混合ワクチンの接種を欠かさず行います。
シニア期(7歳頃~)
人間と同じように、加齢による様々な変化が現れます。関節への負担を減らすために段差をなくしたり、消化の良いシニア用フードに切り替えたりといった配慮が必要です。
認知機能の低下が見られることもあります。健康診断は半年に1回に頻度を上げるなど、よりきめ細やかな健康チェックが求められます。
トイ・プードルの歴史

プードルの歴史は古く、その起源はヨーロッパにあります。一般的にはフランスが原産国として広く知られていますが、元々はドイツから持ち込まれた水辺の猟犬であったという説もあります。
フランス語で鴨を意味する「canard」から「カニッシュ(caniche)」、ドイツ語で水が跳ねる様子を意味する「puddeln」が、プードルという名前の由来になったと言われています。
その特徴的な刈り込みスタイルのトリミングも、元々は心臓や関節を冷水から守りつつ、泳ぎの邪魔にならないようにするという、猟犬としての機能性を追求したものでした。
その後、その優雅な容姿と高い知能からフランスの上流階級で愛玩犬として人気を博し、より小型化が進められてミニチュア・プードル、そしてトイ・プードルが誕生しました。
まとめ

トイ・プードルは、その愛らしい見た目、抜け毛の少なさ、そして類稀なる賢さから、最高のパートナーとなりうる素晴らしい犬種です。
しかし、その繊細な体は定期的なトリミングや日々の健康管理を必要とし、賢いがゆえにしっかりとしたしつけも求められます。
トイ・プードルとの生活は、たくさんの喜びと癒しを与えてくれますが、同時に一つの命に対する生涯にわたる責任が伴います。
この記事で紹介した特徴や飼い方のポイントを参考に、トイ・プードルという犬種への理解を深め、愛情と責任を持って迎える準備を進めていただければ幸いです。
記事の提供/わんちゃんホンポ(https://wanchan.jp/)
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※掲載している内容は、2025年8月21日時点のものです。
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